Written :
September 26, 2024
Updated :
September 26, 2024

Vol.12 アービトラム入門:低コストDeFiへの扉

(本ページはプロモーションを含んでいます)

DeFiで資金運用したいけど、セキュリティやイーサリアムのコストの高さで悩んでいませんか?

私もそうでした。

結論から言うとアービトラムを有効活用することで「低コスト」、「高セキュリティ」、「使いやすさ」を一度に達成することができます。

このブログは以下のような方に読んでいただきたいです。

1)DeFiに興味はあるがコストが高くて困っている

2)DeFiで資金運用するときにセキュリティが心配

3)イーサリアムのレイヤ=2(アービトラム)の具体的な使い方は?

イーサリアムの高速化と低コスト化を実現する「レイヤー2」技術が、仮想通貨の世界で注目を集めています。
本記事では、レイヤー2の基本概念から、アービトラムやオプティミズムなどの主要プロジェクトの比較、さらには実際の利用方法まで、わかりやすく解説します。
レイヤー2技術は、イーサリアムのメインネットワークの外で取引を処理することで、驚異的な速度向上と手数料削減を実現します。
特にアービトラムは、イーサリアムとの高い互換性と安全性で注目を集めています。
この記事を読めば、レイヤー2技術がどのようにしてイーサリアムの課題を解決し、DeFiやNFTなどの革新的なサービスをより身近なものにするのか、その全貌が明らかになるでしょう。
仮想通貨の未来を形作るレイヤー2技術。その可能性と課題、そして実際の活用法をぜひ学んでください。

1. イーサリアムのレイヤー2:スケーラビリティの革命

① レイヤー2とは何か?基本概念の解説

イーサリアムのレイヤー2は、メインネットワークの問題を解決するための画期的な技術です。
ここでは、その基本的な概念について説明します。

a) イーサリアムのスケーラビリティ問題

イーサリアムは、その人気と共に取引量が増加し、ネットワークの混雑が深刻化していました。
これにより、取引の遅延や高額な手数料が発生し、多くのユーザーが不便を感じています。
この問題は、イーサリアムの成長を妨げる大きな障害となっています。

例えば、イーサリアムネットワークを大都市の高速道路だと想像してみてください。
人気が高まるにつれ、この高速道路はひどい渋滞に悩まされるようになりました。
ちょっとそこまで行くのにも大渋滞に巻き込まれ、高額な通行料を払わされる羽目になるのです。
コンビニでガムを買うような小さな取引でも、まるでスポーツカーで高級レストランに向かうかのような高額な通行料を払わされることも。
これでは、誰もが気軽に街を楽しむことができません。

b) レイヤー2ソリューションの定義と目的

レイヤー2ソリューションは、イーサリアムのメインネットワーク(レイヤー1)の上に構築された追加のネットワーク層です。
その主な目的は、メインネットワークの負荷を軽減し、取引の処理速度を向上させ、手数料を削減することです。
これにより、イーサリアムの使いやすさと効率性が大幅に改善されます。

高速道路の例えで言えば、レイヤー2は既存の混雑した高速道路(レイヤー1)の上に新しい超高速レーンを建設するようなものです。
この新しいレーンは、渋滞知らずの未来型ハイウェイ。光速で移動できるだけでなく、通行料も格安です。
まるで、空を飛ぶ車のように、下の渋滞を尻目に、すいすいと目的地まで到達できるのです。

c) レイヤー1とレイヤー2の関係性

レイヤー1(イーサリアムのメインネット)は、セキュリティと分散性を提供する基盤としての役割を果たします。
一方、レイヤー2は、この基盤の上で高速かつ低コストの取引を実現します。
レイヤー2で処理された取引の結果は、定期的にレイヤー1に報告され、イーサリアムの強固なセキュリティを維持しつつ、スケーラビリティを向上させます。

高速道路の世界で例えると、レイヤー1は強固な基盤を持つ大地の高速道路、レイヤー2はその上空に浮かぶ未来型ハイウェイです。
空中ハイウェイで高速移動した車も、最終的には地上の大地に降り立ちます。
つまり、レイヤー2で処理された取引も、定期的にレイヤー1に「着地」し報告されるのです。
これにより、空飛ぶ車の夢のような速さと、大地の道路がもつ安全性を両立させています。

この革新的な二層構造により、イーサリアムは未来都市のような効率と安全性を実現しようとしています。
さあ、あなたも仮想通貨の未来都市で、渋滞知らずの快適なドライブを楽しんでみませんか?



② レイヤー2の主要な利点

レイヤー2技術がもたらす主な利点について、詳しく見ていきましょう。

a) 取引速度の劇的な向上

レイヤー2の導入により、取引速度が飛躍的に向上します。
従来のイーサリアムネットワークでは、1秒あたり約15件の取引しか処理できませんでしたが、レイヤー2では理論上、1秒あたり数千から数万件の取引処理が可能になります。
例えば、Optimismというレイヤー2ソリューションでは、1秒あたり約2,000件の取引を処理できると言われています。
この劇的な速度向上は、多くの取引をメインネットワーク外で処理し、まとめてメインネットに報告する仕組みによって実現されています。
これにより、ユーザーは従来数分から数十分かかっていた取引を、わずか数秒で完了させることができるようになります。
この高速化は、リアルタイムの取引や即時決済が必要なアプリケーションの開発を可能にし、イーサリアムの用途を大きく広げることにつながります。

b) ガス代の大幅な削減

レイヤー2の導入により、取引手数料(ガス代)が大幅に削減されます。
従来のイーサリアムネットワークでは、混雑時にガス代が数十ドルから数百ドルに高騰することがありましたが、レイヤー2では、その100分の1以下、場合によっては1000分の1以下まで削減できます。
例えば、ある人気のNFTプロジェクトでは、メインネット上での取引手数料が約50ドルだったのに対し、レイヤー2では0.25ドル程度で同じ取引が可能になりました。
この劇的なコスト削減は、多くの取引をまとめて処理し、その結果のみをメインネットに記録する効率的な方法によって実現されています。

これにより、従来は手数料が高すぎて実現不可能だった少額決済や頻繁な取引が経済的に可能となり、新しいビジネスモデルやサービスの創出につながります。

c) イーサリアムメインネットのセキュリティ維持

レイヤー2ソリューションの大きな特徴は、イーサリアムのメインネットワークの強固なセキュリティを活用できることです。
レイヤー2で処理された取引の最終的な決済や検証は、常にメインネット上で行われます。
これは、世界中に分散された何千ものノードによって支えられる、イーサリアムの高度なセキュリティシステムを間接的に利用していることを意味します。
例えば、仮にレイヤー2のオペレーターが不正を試みても、メインネット上での検証プロセスによって発見され、防止することができます。
この仕組みにより、ユーザーは高速で低コストな取引を享受しながら、同時にイーサリアムの信頼性の高いセキュリティの恩恵を受けることができます。
これは、独自のセキュリティシステムを持つ他の独立したブロックチェーン(サイドチェーン)とは異なる、レイヤー2の重要な利点です。
この特徴により、大規模な金融取引や重要なデータの処理など、高度なセキュリティが要求される用途にもレイヤー2を安心して利用することができます。


③ レイヤー2の仕組み:オフチェーン処理とロールアップ

レイヤー2の中核となる技術について、詳しく解説します。

a) オプティミスティックロールアップ

オプティミスティックロールアップは、信頼を前提とした楽観的な取引処理方法です。これを理解するには、信頼できる友人との約束を想像してみてください。
あなたは友人が約束を守ると信じているので、いちいち確認せずに行動します。しかし、万が一の場合に備えて、後で確認する機会は設けておきます。

オプティミスティックロールアップも同様に、まず全ての取引が正しいと仮定して高速に処理します。
大量の取引をまとめて、イーサリアムのメインネットワークには簡単な報告だけを送ります。
例えるなら、友人との細かいやり取りは省略して、最終的な結果だけを親に報告するようなものです。

ただし、不正を完全に防ぐため、「異議申し立て期間」という確認の機会が設けられています。
この期間中に問題が見つかれば、取引を無効にできます。これは、友人との約束を親に確認してもらう時間を設けているようなものです。

この方法により、処理速度が大幅に向上し、手数料も大きく削減されます。
また、既存のイーサリアムシステムとの互換性が高いため、多くの開発者にとって使いやすい選択肢となっています。

b) ZKロールアップ

ZKロールアップは、高度な数学を使って取引の正当性を証明する方法です。
これを理解するには、複雑な数学の問題を解く天才少年を想像してみてください。
彼は問題の答えだけでなく、その答えが正しいことを証明する方法も知っています。

ZKロールアップも同様に、大量の取引をまとめて処理し、その結果が正しいことを数学的に証明します。
イーサリアムのメインネットワークには、この証明だけを送ります。
例えるなら、複雑な計算の全過程ではなく、答えと、その答えが正しいという証明だけを先生に提出するようなものです。

この方法の大きな利点は、取引の確定が即座に行われることです。
証明が正しければ、それ以上の確認は必要ありません。
これは、天才少年の証明を見た先生が、即座に満点を付けるようなものです。

ただし、この高度な証明を生成するには複雑な計算が必要で、実装も難しいという課題があります。
しかし、この技術は急速に発展しており、将来的にはさらなる進化が期待されています。

c) サイドチェーン(レイヤー2ではない)

サイドチェーンは、イーサリアムの隣で独立して動く別のブロックチェーンです。これを理解するには、メインの学校の隣にある姉妹校を想像してください。
姉妹校は独自の校則を持ちますが、メインの学校と密接に連携しています。

サイドチェーンも同様に、イーサリアムとは別の独立したブロックチェーンとして動作しますが、イーサリアムとの間で資産やデータをやり取りできます。
例えるなら、姉妹校で授業を受けつつ、メインの学校の施設も利用できるようなものです。

サイドチェーンの利点は、独自のルールを柔軟に設定できることです。これにより、特定の目的に最適化された高速で低コストな取引が可能になります。
例えば、美術に特化した姉妹校では、美術の授業がより効率的に行われるようなものです。

ただし、サイドチェーンの課題はセキュリティです。独自のルールを持つため、メインのイーサリアムほどの高い安全性は保証されません。
これは、姉妹校のセキュリティシステムが、メインの学校ほど厳重でない可能性があるようなものです。


オプティミスティックロールアップ、ZKロールアップ、サイドチェーンの比較

これら3つの方法—オプティミスティックロールアップ、ZKロールアップ、サイドチェーン—は、それぞれ独自の長所と短所を持ち、市場での浸透度も異なります。

オプティミスティックロールアップは、実装が比較的容易で既存のイーサリアムシステムとの互換性が高いという大きな利点があります。
これにより、多くの開発者にとって採用しやすく、市場への浸透が進んでいます。
Arbitrum や Optimism などの主要プロジェクトが広く採用され、大規模なDeFiアプリケーションも多く展開されています。
ただし、取引の確定に時間がかかるという短所があります。

ZKロールアップは、取引の即時確定という大きな利点を持ち、理論的には最も優れたスケーラビリティソリューションとされています。
しかし、高度な暗号技術を要するため実装が難しく、既存のイーサリアムシステムとの完全な互換性の実現にも課題があります。
そのため、市場への浸透はオプティミスティックロールアップほど進んでいませんが、zkSync や StarkNet などのプロジェクトが急速に発展しており、今後の成長が期待されています。

サイドチェーンは、独自の柔軟な設計が可能で、特定の用途に最適化された高いパフォーマンスを発揮できます。
そのため、Polygon のように広く採用されているプロジェクトもあります。
しかし、セキュリティ面でメインのイーサリアムに劣るという大きな課題があり、大規模な資産を扱う用途には適していないと考えられています。

現状では、実装の容易さと互換性の高さから、オプティミスティックロールアップが最も広く採用されています。
しかし、技術の進歩とともにZKロールアップの採用も増えつつあり、将来的にはこちらが主流になる可能性も指摘されています。
サイドチェーンは、特定の用途に特化したソリューションとして、独自の位置を確立しています。

これらの技術は互いに競合しつつも補完し合う関係にあり、イーサリアムエコシステム全体のスケーラビリティ向上に貢献しています。
今後も技術の進化とともに、それぞれの特性を活かした形で市場に浸透していくことが予想されます。


③ レイヤー2の仕組み:オフチェーン処理とロールアップ

レイヤー2の中核となる技術について、詳しく解説します。

a) オフチェーン処理の概要

オフチェーン処理は、イーサリアムのメインネットワーク外で取引を実行する方法です。
この技術では、大量の取引をレイヤー2と呼ばれる別のネットワーク上で処理し、その結果のみをイーサリアムメインネットに報告します。
これにより、メインネットの負荷を大幅に軽減し、処理速度の向上とガス代(取引手数料)の削減を実現します。

高速道路に例えると、オフチェーン処理は混雑した主要高速道路(メインネット)の隣に新しい高速レーン(レイヤー2)を作るようなものです。
多くの車(取引)はこの新しいレーンを使って高速で移動し、最終的な結果だけを主要高速道路に報告します。
これにより、主要高速道路の渋滞が緩和され、全体的な交通の流れが改善されるのです。

b) ロールアップ技術の説明

ロールアップは、複数の取引をまとめて一つの大きな取引として処理する技術です。
この方法では、多数の個別取引データをレイヤー2上で圧縮し、その圧縮データと取引の正当性の証明のみをイーサリアムメインネットに送信します。

高速道路の例で言えば、ロールアップは複数の車を一台の大型トラックに積み込むようなものです。
個々の車(取引)の詳細情報はトラック(レイヤー2)内に保管され、主要高速道路(メインネット)には、このトラック1台分の情報だけが送られます。
これにより、主要高速道路上の車両数(処理すべき取引数)が大幅に減少し、交通の流れが改善されるのです。

ロールアップには主に二種類あります。オプティミスティックロールアップは、全ての取引が正しいと仮定して処理を進め、問題があった場合に後から修正する方式です。
一方、ZKロールアップは、ゼロ知識証明という暗号技術を使用して、取引の正当性を数学的に証明します。
どちらの方式も、イーサリアムメインネット上での処理量を大幅に削減し、結果としてネットワーク全体の処理能力を向上させます。

c) 課題とリスク(イーサリアムメインネットに比べて)

レイヤー2技術には、イーサリアムメインネットと比較していくつかの課題とリスクが存在します。
まず、資金の流動性に関する問題があります。レイヤー2からメインネットへの資金移動には、セキュリティ上の理由から時間がかかる場合があります。
これは、ユーザーが急に大量の資金をメインネットに戻す必要がある場合に問題となる可能性があります。
次に、オペレーターリスクがあります。レイヤー2のオペレーターが何らかの理由で運営を停止した場合、ユーザーの資産が一時的に利用できなくなる可能性があります。
また、各レイヤー2ソリューションが独自の仕様を持つため、ユーザーエクスペリエンスの断片化や互換性の問題が生じる可能性もあります。
さらに、スマートコントラクトの脆弱性やバグのリスクも存在します。
これらの課題に対処するため、レイヤー2プロジェクトは継続的にセキュリティの強化と利用者体験の改善に取り組んでいます。



2. イーサリアムレイヤー2の主要プロジェクト比較

① オプティミスティックロールアップ

オプティミスティックロールアップは、イーサリアムのスケーラビリティを向上させる革新的な方法です。
この技術は、「楽観的」という名前の通り、すべての取引が正しいと仮定して処理を進めます。
これは、信頼できる友人との約束のように、まず信じて行動し、問題があった場合にのみ確認するアプローチです。
この方法により、取引処理の速度が大幅に向上し、手数料も大きく削減されます。
ただし、不正を防ぐため「異議申し立て期間」が設けられており、この期間中に問題が発見された場合は取引を無効にできます。
この仕組みにより、高速な処理と安全性のバランスを取っています。

a) Arbitrum(アービトラム)の特徴と利点

Arbitrumは、オプティミスティックロールアップを採用した人気の高いレイヤー2ソリューションです。
その最大の特徴は、イーサリアムとの高い互換性です。
これは、イーサリアム用に作られたアプリケーションやツールを、ほとんど変更せずにArbitrum上で使用できることを意味します。
例えば、イーサリアムで人気の暗号資産取引所や貸借サービスが、Arbitrum上でもそのまま利用可能です。
この互換性により、開発者は新しい環境での開発の手間を省け、ユーザーも慣れ親しんだサービスをより低コストで利用できます。
また、Arbitrumは多くの大手DeFi(分散型金融)プロジェクトに採用されており、ユーザーは様々な金融サービスを低コストで利用できる環境が整っています。

b) Optimism(オプティミズム)の概要と最新動向

Optimismは、Arbitrumと並んで注目を集めるオプティミスティックロールアップソリューションです。
Arbitrumと同様に、イーサリアムとの高い互換性を持ち、多くのDeFiプロジェクトで採用されています。
最近の注目すべき動向として、Optimismは独自のガバナンストークン「OP」を導入しました。
これにより、ユーザーはネットワークの意思決定に参加できるようになり、より分散化された運営が可能になります。
また、Optimismは「Optimism Collective」というコミュニティ主導の取り組みを通じて、エコシステムの拡大に力を入れています。
これは、開発者やユーザーがより積極的にネットワークの成長に関わることを促し、イノベーションを加速させる狙いがあります。

c) Base Networkの特徴

Base Networkは、大手暗号資産取引所Coinbaseが支援する新興のレイヤー2ソリューションです。
Optimismの技術を基盤としており、オプティミスティックロールアップの利点を継承しています。
Base Networkの大きな特徴は、Coinbaseという信頼性の高い企業がバックについていることです。
これにより、機関投資家や一般ユーザーにとって、より安心してレイヤー2を利用できる環境が整いつつあります。
また、CoinbaseのユーザーベースとLiquid機能を活用することで、高い流動性と使いやすさを実現しています。
Base Networkは、既存の暗号資産ユーザーだけでなく、これまで暗号資産に触れてこなかった人々にも、低コストで安全なブロックチェーン体験を提供することを目指しています。
今後の成長と採用拡大が期待されるプロジェクトの一つです。

イーサリアムのレイヤー2の成熟度を示す方法の一つにヴィタリックブテリン氏の提唱する「ステージ」という考え方があり、以下のように分類されています。

  • ステージ0: 開発者がマルチシグ(複数の署名)を用いてシステムの問題解決に直接介入できる段階。
  • ステージ1: 不正証明や有効性証明に依存し、限定的にマルチシグで介入できる部分がある段階。
    この段階では、不正防止機能を備えており、緊急時には「補助輪」としてマルチシグによる介入が可能です。
  • ステージ2: 完全に分散化され、コードのみで稼働する段階。

Arbitrumは、ステージ1をほぼ完了したと評価できます。
2021年8月にメインネットをローンチし、それ以降安定した運用を継続しています。
イーサリアムとの高い互換性を実現し、多くのDeFiプロジェクトに採用されています。
セキュリティ面でも複数の監査を経て、安全性が確認されています。
現在は、処理能力の向上や新機能の追加など、次のステージに向けた取り組みを進めています。

Optimismも同様に、ステージ1の目標をほぼ達成しています。
2021年6月にパブリックメインネットをローンチし、安定した運用を続けています。
イーサリアムとの互換性も高く、多くのDAppがOptimism上で稼働しています。
さらに、ガバナンストークン「OP」の導入により、分散化とコミュニティ参加の促進も進めています。
現在は、スケーラビリティのさらなる向上と、エコシステムの拡大に注力しています。

Base Networkは、他の2つに比べると後発のプロジェクトですが、ステージ1の達成に向けて急速に進歩しています。
2023年2月にテストネットをローンチし、現在はメインネットローンチに向けた最終調整段階にあります。
Coinbaseのサポートを受けていることから、セキュリティ面での信頼性は高く、Optimismの技術を基盤としていることで、イーサリアムとの互換性も確保されています。
ステージ1の完了に向けて、メインネットローンチと初期のエコシステム構築が今後の重要なマイルストーンとなります。


② ZKロールアップ

ZKロールアップは、上述のように暗号学的証明を用いて取引の正当性を保証する方式です。以下、具体例を説明します。

a) zkSync(ゼットケーシンク)の革新的技術

zkSyncは、ZKロールアップ技術を活用した先進的なレイヤー2ソリューションです。
独自のZK-SNARK技術を採用し、高速かつ低コストの取引処理を実現しています。
この技術により、イーサリアムのメインネットと比較して、処理速度が劇的に向上し、手数料も大幅に削減されています。
例えば、zkSync上での取引は数秒で完了し、手数料もわずかです。
最近では、より高機能なzkSync 2.0の開発が進められており、スマートコントラクトの完全サポートを目指しています。
これが実現すれば、複雑な金融サービスやゲームなど、多様なアプリケーションがzkSync上で展開できるようになります。
zkSyncの革新的な技術は、ブロックチェーンの大規模採用に向けた重要な一歩として、業界から大きな期待を集めています。

なおzKSync Liteは上述の「ステージ1」の条件を満たしている、と言われています。

b) StarkNet(スタークネット)のスケーラビリティソリューション

StarkNetは、STARK技術を用いた強力なZKロールアップソリューションです。
STARKは、SNARKよりもさらに高度な暗号技術で、より大規模な計算の証明が可能です。
StarkNetの特筆すべき特徴は、その並列処理能力の高さです。
多数の取引を同時に処理できるため、従来のブロックチェーンでは実現困難だった高いスケーラビリティを達成しています。
また、StarkNetは独自のプログラミング言語「Cairo」を採用しており、これにより効率的なスマートコントラクトの開発が可能になっています。
Cairoは、複雑な計算や大規模なデータ処理に適しており、開発者がより高度なアプリケーションを作成できるようサポートしています。
これらの特徴により、StarkNetは特に大規模なデータ処理や複雑な計算を必要とするアプリケーションに適しており、ブロックチェーン技術の新たな可能性を切り開いています。

3) アービトラムへの資金移動:ステップバイステップガイド

① イーサリアムからアービトラムへの送金準備

アービトラムを利用するための準備について説明します。

a) 必要なウォレットの設定(MetaMask推奨)

アービトラムを利用するには、対応するウォレットが必要です。
最も一般的なのはMetaMaskで、ブラウザの拡張機能として簡単にインストールできます。
MetaMaskをインストールしたら、イーサリアムのアドレスを作成し、少量のETHを入金しておきましょう。

b) アービトラムネットワークの追加方法

MetaMaskにアービトラムネットワークを追加する必要があります。
これは、MetaMaskの設定から手動で行うか、アービトラムの公式サイトから自動で追加することができます。
ネットワークを追加することで、アービトラム上の残高やトランザクションを確認できるようになります。

c) ガス代の確認と準備

イーサリアムからアービトラムへの送金には、イーサリアムのガス代が必要です。
送金前に、現在のガス代を確認し、十分なETHを用意しておきましょう。
ガス代は時間帯によって変動するので、比較的安い時間を狙うのも良いでしょう。

② ブリッジを使用した資金の移動プロセス

実際の資金移動の手順を説明します。

a) Arbitrum Bridgeの使用方法

アービトラムへの資金移動には、Arbitrum Bridgeを使用します。
公式サイトにアクセスし、MetaMaskを接続したら、送金したい金額を入力します。
ブリッジでは、ETHだけでなく、多くのERC-20トークンも移動させることができます。

b) 取引の承認と確認の流れ

金額を入力後、取引を承認します。MetaMaskのポップアップが表示されるので、内容を確認してから承認してください。
承認後、イーサリアムネットワーク上で取引が処理されるまで待ちます。処理が完了すると、アービトラム上で資金が利用可能になります。

c) 処理時間と注意点

イーサリアムからアービトラムへの送金は通常10分程度で完了しますが、ネットワークの混雑状況によっては時間がかかる場合もあります。
一方、アービトラムからイーサリアムへの送金には、セキュリティ上の理由から約7日間の待機期間が必要です。
緊急に資金が必要な場合は、この点に注意が必要です。


③ イーサリアムとアービトラム間の双方向のブリッジ

実際に資金運用をするとイーサリアムとアービトラムの間を双方向でブリッジするケースが出てきます。
いずれの場合もアービトラムの公式サイトで可能ですが「必要時間」「費用」「使用通貨」が以下のように異なります。

a) イーサリアム→アービトラムの場合

イーサリアムからアービトラムへの資金移動は、比較的迅速かつ簡単なプロセスです。
通常、この移動には約10分から30分程度の時間がかかります。
ただし、イーサリアムネットワークの混雑状況によっては、さらに時間がかかる場合もあります。
費用に関しては、イーサリアムのガス代を支払う必要があります。
ガス代は、ネットワークの混雑状況によって変動しますが、通常数ドルから数十ドル程度です。
送金可能な通貨は、ETH(イーサリアム)をはじめ、多くのERC-20トークンに対応しています。
この移動は、アービトラムの公式ブリッジを通じて行われ、ユーザーは自身のウォレット(例:MetaMask)を連携させて簡単に操作できます。
この方向への移動は比較的速いため、ユーザーは迅速にアービトラム上でのDeFiサービスや取引を開始できます。

b) アービトラム→イーサリアムの場合

アービトラムからイーサリアムへの資金移動は、逆方向と比べてより時間がかかるプロセスです。
セキュリティ上の理由から、この移動には約7日間の待機期間が設けられています。
この長い待機期間は、ネットワークの安全性を確保するために必要とされています。
費用に関しては、アービトラム上でのガス代とイーサリアム上での処理手数料の両方が必要となります。
アービトラム上のガス代は比較的安価ですが、イーサリアム上の手数料は、ネットワークの混雑状況によって変動します。
送金可能な通貨は、ETHおよび多くのERC-20トークンです。この移動も、アービトラムの公式ブリッジを通じて行われます。
長い待機期間があるため、ユーザーは資金の流動性に注意を払う必要があります。緊急に資金が必要な場合は、この方法は適していません。

なお、上記以外にもメタマスクのブリッジ機能を使って送金できる方法もありますが、アービトラムかイーサリアムにブリッジするのであればアービトラムの公式のdAppsを使った方が安全です。

またCEX(取引所)を仲介してブリッジすることも可能ですが、その国や取引所によってはアービトラムに対応していないケースもあります。

おまけ

最後にDeFiで人気となっているソラナとアービトラムの現時点での比較をします。

①ソラナとは何か?

ソラナは、高速で低コストの取引を実現する次世代ブロックチェーンプラットフォームです。
2017年に開発が始まり、2020年にメインネットがローンチされました。
ソラナの特徴は、独自の「プルーフ・オブ・ヒストリー」というコンセンサスメカニズムを採用していることです。
これにより、1秒あたり数万件の取引を処理する能力を持ち、イーサリアムなどの従来のブロックチェーンと比べて圧倒的に高速です。
また、スマートコントラクトをサポートしており、DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)など、様々なアプリケーションの開発が可能です。
ソラナは、その高速性と低コストを武器に、急速に人気を集め、暗号資産市場で注目を集めるプロジェクトの一つとなっています。

②ソラナの長所と短所

ソラナの最大の長所は、その高速性と低コストです。1秒あたり数万件の取引を処理できる能力は、他の多くのブロックチェーンを圧倒しています。
また、取引手数料が非常に低いため、マイクロペイメントなど、小額の取引も経済的に実行可能です。さらに、開発者フレンドリーな環境を提供しており、多様なアプリケーションの開発を促進しています。

一方、短所としては、まず中央集権化のリスクが挙げられます。
高性能を維持するために必要なハードウェア要件が高く、一般のユーザーがノードを運用するのが難しいため、ネットワークの分散性が低下する可能性があります。
また、比較的新しいプラットフォームであるため、セキュリティ面での懸念もあります。
過去にネットワークの停止を経験しており、安定性の面で改善の余地があります。
さらに、イーサリアムほどの大規模なエコシステムやコミュニティを持っていないことも、現時点での弱点と言えるでしょう。

③ソラナとアービトラムの比較

a) 使い勝手

ソラナは独自のブロックチェーンとして設計されており、使い勝手の良さが特徴です。
取引速度が非常に速く、ユーザーはほぼ瞬時に取引を完了できます。また、ウォレットの設定も比較的簡単で、初心者にも扱いやすいインターフェースを提供しています。

一方、アービトラムはイーサリアムのレイヤー2ソリューションであり、イーサリアムとの高い互換性が強みです。
既存のイーサリアムユーザーにとっては馴染みやすく、多くのDeFiプロジェクトがそのまま利用可能です。
ただし、レイヤー2への資金の移動には追加のステップが必要となり、初心者にはやや複雑に感じられる可能性があります。

b) セキュリティ

セキュリティの面では、アービトラムがやや優位に立っています。
アービトラムはイーサリアムのセキュリティモデルを継承しており、長年の実績と大規模なコミュニティによる検証を受けています。
また、オプティミスティックロールアップの特性上、不正な取引を防ぐための「異議申し立て期間」が設けられており、追加のセキュリティレイヤーとなっています。

一方、ソラナは比較的新しいプラットフォームであり、セキュリティ面での実績はまだ十分とは言えません。
過去にネットワークの停止を経験しており、安定性の面で課題が残っています。
ただし、ソラナチームは継続的にセキュリティの強化に取り組んでおり、改善が進められています。

c) 費用

費用の面では、ソラナが圧倒的に優位です。ソラナの取引手数料は非常に低く、多くの場合1セント未満です。
これにより、小額の取引や頻繁な取引を行うユーザーにとって非常に魅力的なプラットフォームとなっています。

アービトラムも、イーサリアムのメインネットと比較すると大幅に低い手数料を実現していますが、ソラナほどの低さではありません。
ただし、アービトラムの手数料はイーサリアムのガス代の変動に影響を受けるため、ネットワークの混雑時には比較的高くなる可能性があります。
また、イーサリアムメインネットとの間の資金移動には追加の手数料がかかることも考慮する必要があります。

まとめ

イーサリアムのレイヤー2技術、特にアービトラムのようなソリューションは、仮想通貨の世界に革命をもたらしています。
高速で低コストの取引を実現することで、より多くのユーザーがDeFiやNFTなどの革新的なサービスを利用できるようになりました。

しかし、この技術はまだ発展途上であり、ユーザーは常に最新の情報を把握し、セキュリティに注意を払う必要があります。
レイヤー2の利用には多くの利点がありますが、同時に新たな複雑さも伴います。

今後、レイヤー2技術はさらに進化し、イーサリアムエコシステム全体のスケーラビリティと使いやすさを向上させていくでしょう。
ユーザーとしては、これらの技術の基本を理解し、自身のニーズに合ったソリューションを選択することが重要です。

レイヤー2技術は、仮想通貨の大衆化と実用化に向けた重要なステップです。
この技術の発展により、ブロックチェーン技術がより身近なものとなり、従来の金融システムを変革する可能性を秘めています。
今後の動向に注目しつつ、賢明に活用していくことが、これからの仮想通貨利用者には求められるでしょう。

執筆時点でアービトラムで送金できるのは日本ではOKコインさんだけのようですが、今
後、対応できる取引所が増えてくれば安価で信頼性のあるDeFiが日本でも始めやすくなると思います。